嵐のクルージング・レッスン

2010.09.27 Mon




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ラグナマリーナにヨットを係留しているKさんから講習依頼があった。
自分のヨットで五カ所湾へ行きたい、それでクルーズ&ラーンで
デイスキッパーコースを受講したいとのこと。
まずはマリーナ周辺の海域で、奥さまもご同乗していただき
基本的な部分のレッスンとお船のチェック。
そして、秋分の日をはさみ、まずは四日間でプランニングした。
天気をチェックすると、南の海上に台風がある。
22日にスタートすると、ちょうど帰りに台風にかぶる可能性がある。
日本海に停滞する秋雨前線も気になる。
22日は大丈夫、23日は雨だから五ヵ所周辺でレッスン。
そして24日前線が通過して北西に変わる。
たぶん強風。
早出して鳥羽まで戻る。
そして25日、やや強いと予想される北西の風の中、マリーナに帰る。
そんなプランを立てた。
台風と前線に挟まれたエリアを縫うようなプラン。
リスクはある。
最悪、日曜日までを予備日とすれば、なんとかなると考えた・・・・。

初日、6時にマリーナを出航。
穏やかな三河湾を快調に飛ばし、西風をアビームで受けながら
三重の海岸線を南下した。
問題はなにもない。
暑いくらいだ。
大王崎、布施田水道を順調に進み、8時間半あまりで五カ所湾へ入った。
その日は「なんせいマリーナ」へ係留。
ハーバーマスターに車を借りて、五カ所浦で夕食、合歓の郷で
温泉に入りにいった。
ここは静かだ。
虫の声しか聞こえない。
空を見上げると、満月が見えていた。中秋の名月。
ただ、夜がふけると次第に雲が多くなり、そして月は見えなくなった。
夜半、天気図を確認する。
まずい、台風が予想より早く北上している。
加えて、前線が南下し始めた。
台風が前線を刺激し、大荒れになるパターンだ。
台風が通過した後あとの北西風も、事前の予想よりはるかに強そうだ。
強い向かい風で大王崎はつらい・・・・。
できるだけ早く、三河湾近くに戻るべきと考え、よく朝、早立ちし
鳥羽に向かうことにした。

二日目、6時出航。
御座岬沖はまだ穏やかだ。ただ、雲は怪しい気配。
布施田をアビームで過ぎる。
南の風が急に強く吹きこんできた。
そして雷!雨も降り始める。
これはきっとすぐに北西に変わる。
雷、そして急に強い風のまま、風向きが180度変わるのは危ない。
大王崎沖で、緊急に「波切港」へはいることにした。
Kさんにも落ちついてもらう意味もあった。
少し不調な船の部分を直し、休憩した。
雷は過ぎ、風は予想通り北西に・・・。
14時、波切出航。
北西の風はますます強くなる。
最初は小さかった波も、風の影響でどんどんとサイズアップする。
ゆきたい方向は、風の吹いてくる方向。
真登りってやつだ。
スプレーをしっかりとかぶりながらも、それでもなんとか的矢湾沖を通過。
セイルに少し風を入れながら、正面からの波を超えてゆく。
ただ・・・スピードはあがらない。
ますます風はあがる。10M、12M、15M。
雨も強い。
海況は「嵐」だ。
石鏡沖にさしかかったとき、即断した。
一時間ほど前に通過した的矢湾へ引き返そう。

強風の登りは精神的につらい。
その戦いは長時間に及ぶことが多いし、スプレーも被る。
強風の下りは、そのぶん、風とともに走るので精神的に楽だ。
風を感じる度合いが、ずっと少ないのだ。
船もヒールしない。
ただ、波に合わせたかじ取りは難しい。
うまく走らせないと大きくロールするし、ブローチング(横倒し)の
危険もはらんでいる。
Kさんに少し風に角度をつけて走らせるように指示しながら
的矢の入口の暗礁に、気持ちを集中させていた。
のぼりの、半分ほどの時間で的矢湾へ逃げ込んだ。
そして鳥羽マリーナへ。
クルージング中、戻った・・・ことはあまりない。
レッスンであるということでマージンを取ったこともあるが
もし自分ひとりでもそうしたかもしれない。
大洋を航海するとき、強風で苦しいとき、セイルを最小サイズにして
風下に下ってゆくのがセオリーだ。
たとえ目的地から大きくそれても、波の向きには細心の注意と対処をしながら
そうするのが、ダメージが少ない。
沿岸の場合、そうはいかない場合がある。
リーワード(風下)が陸地でその方向に港がないなら
風下へ逃げる選択はない。
クルージングは、登山と似ている。
エスケープルートをいつも頭の片隅に置きながら、状況を正しく判断するのだ。
迷いは禁物。
早い判断が、すべてに、いい結果をもたらす。
的矢は、ぼくの頭の中でエスケープ場所としてずっと意識していた。
横を通過したとき、しっかりとその入り口の暗礁を、睨んでおいた。

翌朝、風はやや落ちていた。
ただ、台風からの風で東になり、うねりも東うねり。
伊良湖水道手前での波はそこそこ大きかった。
Kさんはその波を楽しむ余裕もでてきた。
10M/Sの風、4M近いボトムから波高。
波の腹を登り下り、神島東を通過。
そして三河湾に入ると、まるでプールのように穏やかな海面が待っていた。
この差はなんだ・・・。
そう、いつも感じる。
三河湾はすばらしい。
でも、内海で穏やか、ただ「海」はすべてそうではないのだ。
三河湾から出られないヨットもヨットマンも、実は多い。
三河湾の中でセーリングしていても、経験できないことはあるのだ。

佐久島に寄り、昼食を食べてホームポートに帰港した。
Kさんも、Kさんの愛船も、よくがんばった。
翌日土曜日、講習艇トレードウインドで最後のレッスン。
10M以上の風が吹いていたが、それ以上の風と波を経験したKさんは
落ち着いたものだった。
見事、デイスキッパーのサティフィケートを取得された。

今回のレッスン、ぼくが反省すべき点も多い。
根本的に、あのタイミングでクルーズ&ラーンをしたことがどうだったのか。
「マイヨット」レッスンは、ぼくがどんどんしていきたいことではあるが
もう少し、船のことを把握する必要があったのではないか。
安全は第一だ。
でもその「安全」は、万人に一様ではない。
その船、スキッパー、クルーによって、その限界値は変わる。
そしてもうひとつ言えることは、長い航海をするとき
どうしても遭遇する「嵐」があることは事実だ。
デイクルージングしかしないなら、嵐の日にでなければいい。
でも、大洋を渡ってゆくなら、それをしのぐ「技」も「気持ち」も
必要なのだ。
常に安全のマージンを持ちながらも、そんなキャリアの一端を
経験してもらえるようなレッスンも、またぼくの信条なのだと
思う。
そのためには、ぼくはぼくで、もっと自分の限界値を高めねばならない。

海にでたい・・・そう思う。
スクールであれ、そうでなくとも、海に出て、ぼくは成長したい。
レッスン後、ぼくは海でしばらく泳いだ・・・。
少し火照った体を冷やすため、そして海をもっと近くに感じるために・・・。

  1. 2010/09/27(月) 21:33:41|
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スナメリとオールド・ソルト

2010.09.14 Tue



今週から、紀伊半島の先端、串本から70歳のTさんがヨットスクールを
受講してくれている。
友人からヨットを譲り受けたから、乗りこなすセーリング技術を習得したいというリクエスト。
それは泊りがけ、5日間のコース。

初日からこの季節には珍しい北西の風が強く吹いた。
翌日もその風は残り、大きくヒールしながらヨットははしり、レッスンは続いた。
失礼ながら、その年齢を心配していた・・・・。
この二日間、レッスンさせていただき、またセーリング中いろんな話をお伺いし
その「心配」が、ほんとに「失礼」だったことがわかった。
Tさんは串本で長年ダイビングサービスの会社をされていた、いわば、「海のプロ」。
動きは緩やかだが、海や風を見る目は鋭く、的確だ。
始めて乗る、少し大きめのヨットのかじ取りも、すぐに慣れて的確だ。

少し不安定にシフトする風の中、少し長くセーリングするレッスンプランを考えた。
風を受けて反応するヨットの状態を、少し長い時間感じてもらえれば
Tさんは今までの海の経験から、多くの類推をして、そしてご自分で
学ばれていくのだと思った。
スタボードサイドで、大島を抜け、約二時間ほど西浦沖へずっと伸ばした。
シフトする風に最初はためらっていたが、そのうち風に反応しはじめた。
「対応」ではなく「反応」になるには時間がかかるものだ。
でも、すぐに「反応」した、ヘルムをするようになっていた・・・・。

新しいことを始めるのには、年齢など関係ない。
確かにそうだが、物理的肉体的限界があることも事実だ。
だからぼくは、いまからヨット技術を習得し、そして日本をまだ旅するのだという
Tさんを、リスペクトする。
ぼくも、それに少しでもお役に立ちたいと、強く思う。

海はすばらしい。
存在そのものもそうだが、そこに人を惹きつけて、「生きがい」を与えてくれる。
海はただの海水のたまり場ではない。
魚やクジラや、クラゲや貝や、海亀や・・・そして人が生きる場所なのだ。
ぼくは強い潮風に吹かれながら、澄み渡った空を見た。
秋の気配の空だった。
遠く霞んではいるが見渡せる、三重県の島を見た。
自分の今の場所から、そこへずっと続く海が、いつもと違った色に見えた。
尊敬すべきオールド・ソルトが無心に舵を取っているのを振り返り、見た。
こんな出会いがあるから、ぼくは海で、こんなことをしているのだと、思った・・・。

西浦沖、いつもの場所、スナメリの群れがTさんを歓迎するかのように現れた。
10頭くらいの群れ、子どもスナメリの姿も見える。
「歓迎会」は30分くらい続いた。
いたく、喜んでもらえた。
いつも彼らには、感謝だ。

  1. 2010/09/14(火) 22:35:26|
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クルージングレッスン

2010.09.06 Mon



今日はmさんの愛艇でのレッスン。
午前中から南寄りの風がそこそこ吹く。
mさんの愛艇、ジャノーはよく走る。
セーリング能力の高い、いい船だ。

お昼は三谷漁港に入り、近くのお店でランチ。
午後は大島の北側でアンカリングレッスン。
mさんは落水した時のために、ジャックラインに自分をビレーして
船にあがれるかどうかシュミレーションしたいと・・・。
結果・・・自力で這い上がるのは無理。
船が走ってたら、なおさら無理だ。
シングルハンドで落水して、それでもなんとかジャックラインなどで
船とつながっている場合の復帰方法、考えないといけない。
もちろん、落ちないことがベスト。
でも激しくブローチングすれば、落ちる可能性はゼロではない。

船上への復帰方法、ぼくの宿題だ・・・・。

  1. 2010/09/06(月) 22:15:18|
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熱風カイトスクール

2010.09.05 Sun



9月過去最高の気温を記録した土曜日、カイトスクールを実施。
豊川で北西の風が吹くという予報。
こんなに気温高いのに、北西の風??
疑いいつつも、スクール生やいつものカイト仲間に連絡。

土曜日、気温の上がりきらない午前中、風は吹いた。
スクール生で若手?1のiさんはあと少しで乗れる。
結果・・・・約100m走った!!

ぼくも昼過ぎ、熱風の中少し走る。
この暑さが少しゆるめば、風も吹くし、カイトのシーズンが来る。
はやくこーーいい!!カイトシーズン。

  1. 2010/09/05(日) 23:00:33|
  2. カイトボーディング|
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